エッセイ
僕は毎朝、自分の家のある西東京市から会社のある青山まで、 西武線と大江戸線を乗り継いで通っています。 練馬駅を乗り換えで利用します。その乗り換えのときに、決まって駅前のセブンイレブンでコーヒーを買うのですが、 先日、雪が降った翌日だったと思う…
今週のお題「私のアイドル」 今年で3才になる息子が、僕にとってはかけがえのない存在になっている。 彼が生まれたとき、この子の「ために」頑張ろうと誓ったが、今、この子の「おかげ」で頑張れている自分がいる。 僕の父(息子にとっては祖父にあたる)が…
爪のはらのピンク、そんな感じに桜が彩り、どの木もぱぁと枝を広げてバンザイの3月外れ。 僕と空海先生が初めて会ったのは2004年の春だったと思う。 「君さ、なに、コピーライターになりたいんだ?じゃあもっと日本語を勉強しないとだよ、これじゃ難しいよ〜…
「すみません、今日は早めに帰ります。次があるんです」 「はぁ珍しい!まだハンバーグ、全部食べてないですよ?珍しいですね、浦川さん。」 「あ、はい…残してごめんなさい。」 「いえいえ!…なにか、その、大事な用事なのですか?」 「あ、何かあったわけ…
六本木には地下鉄で向かった。 休日ではあったが、消化しききれなかった仕事を 上野のオフィスで片付け、地下鉄で向かう。 日比谷線から六本木通りへとあがる。 辺りは暗く、寒かった。 時期は年の瀬で、街は慌ただしく、赤青黄色、大小様々なネオンが光る。…
3月の始め、オフィスに行くと、僕の席の近くに電信柱が立っていた。 いや、電信柱のようにひょろっとした、背が高い男性がいたのである。 綺麗な白シャツを着ていた。 ズボンはローライズ、タイトなチノパンで、彼の直線体格を強調していた。 そして、僕たち…
「すみません!広尾のこの住所までお願いします」 恵比寿駅前でタクシーを拾う。 前の予定が長引き、恵比寿の駅に着いたのが16時57分。 高校時代の旧友、北条の結婚式二次会は17時から。 つまり僕は気が気でないくらい、急いでいたのである。 北条マサガス、…
「ところで、最後に聞きたいのだけれど、浦川くん、きみの文作の 師は誰だと思う?」 「あ、はい…帆士ハルヨだと思います」 「えっと…ごめんなさい、私不勉強かな。 その作家さんは初めて聞くな。随筆家さんか、なにかかな?」 「いえ、違います。僕の祖母で…
犬を飼いたいと言い出したのは母だった。 反対した。父も仕事で家にいないのはもちろん、母も雑司が谷の教育委員会で 働いていて、一日の大半、家を空けている。 そんな状態で犬なんて飼えるわけないやろ、やめときなさい。大変なんだよ、 犬っていうのは。…