まいにちショウアクのすけ

平日の日課として、書いて、書いて、書いて!

休日の紙風船

息子ができてから、1年と2ヶ月。休日の過ごし方が大きく変わった。

まず朝7時には起きている。早く起きて、低血圧でフラフラとしながら、キッチンまで向かう。冷蔵庫から麦茶を取り出して、一気に一杯飲みほす。イビキをしているせいなのか、はたまた口で息をしているせいなのか、口の中がカラカラなのである。

麦茶を飲み干したら、コーヒーを淹れて、それを飲みながら、息子用の小さいおにぎりと自分用のサンドウィッチをラップに包み、リュックに、文字通り放り込む。

息子を起こし、着替えさせ、身支度を済ます。着替えさせるとき、息子はおとなしくて、じっと僕の顔を覗いている。微笑み返すと、何か確認が取れたように、ニコッとして、安心した様子で息子なりにも急いで用意をしてくれる。

 

近くの公園まで散歩に出かける。平和島 浜辺の公園。こじんまりはしているけど砂浜があるその公園に僕は休日の朝、決まって出かけるのだ。

持っていくものは朝ごはんが入ったリュック、子供を乗せるベビーカー、そして息子のお気に入りの紙でできた「ふうせん」。

子供の日に、父親が買ってくれた紙製のぼんぼりで、外で遊ぶような代物ではないのだけど、息子的にはこれがとてもお気に入りで、他のおもちゃには見向きもしない。

「いいかい、これは慎重に扱わないと、ダメだからね。破れたら、もう、遊べないからね」

そう言い聞かせて、そのぼんぼりを息子の手に持たせて、ベビーカーに乗せて、公園へと、のっそりのっそり向かう。

今の季節、浜辺はすごしやすい気温だ。風は冷たくなりはじめているけれど、前季の残り香のような日差しが暖かく、体をちょうどよく温めてくれる。

公園に到着すると、息子をベビーカーからおろして、紙風船を飛ばす遊びに付き合う。20分ばかり。息子が手から紙風船を離すと、それが風に乗って飛んでいく。それを一緒に追いかけて、回収する。そしてまた離す。これの繰り返し。

 

途中紙風船がしおれることがある。空気が抜けて、少ししぼむ。そうしたとき、決まって僕は息子に

「ほれ、ぼんぼんが元気ない。ぴーちゃん、これにふーってしてあげて」

そういうと、息子は一生懸命、ふーふーと、紙風船の穴に息を吹きかけて、それを甦らしては、また飛ばす。それを何度もなんども繰り返して、疲れたら、浜辺に座り込み、二人で朝ごはんを食べる。

 

なんの音もしない浜辺。人口の浜辺だからか、波音はしない。ときたま息子が海側を指指し喋る「ああ!」「ちょちょ!!」というような言葉に「そうだね」「そうなんだ」「びっくりだねぇ」などと返答をして、朝ごはんを食べ終わったら僕たちは家路につく。

 

最近は、息子と一緒にベットで仲良く寝ている。朝の遊びをするようになったからか、それとも乳離れをし始めたか、息子もぐっすりと寝てくれるようになった。

もちろん僕もぐっすり。平日の疲れと、ぼんぼりとの追いかけっこで、疲れているせいだろうか。ゆっくり、泥のように眠る。

しかし、昨日の日曜日、ふと、風を顔面に感じて、目が覚めた。口のあたりに、風が一定間隔で吹き込むのだ。薄目を開けてみると、息子が起きている。

小さいクリームパンのような手で、僕の口元を一生懸命広げて、そこにふー!ふー!と、口で息を送っていたのだ。

(ほれ、ぼんぼんが元気ない。ぴーちゃん、ふーってしてあげて)

ああ、そうか、息子は、ふーっと息を吹きかけるのが、元気になるおまじないと思っているのか。そう思った。

そして同時に、「おとうさん頑張って」と息子から言ってもらっているような気がして、なんとも嬉しくて、それでもっておかしくて、笑ってしまいそうな口元を必死で緩めながら、しばらくその風を感じて、僕はゆっくりと眠りについた。

翌朝起きると、口の中が変わらず、カラカラに乾いていた。

嫌な気は、しなかった。