まいにちショウアクのすけ

平日の日課として、書いて、書いて、書いて!

風に吹かれて

年末年始の休み、週末、成人の日をつなげ、12連休をもらった。

就職してから、こんなに長い休みは、初めてのことだ。かといってどこかに旅行に行くわけでもなく、年末は家の大掃除、年始には妻と僕、互いの実家に年始挨拶に出かけるといった感じで、典型的な、何の変哲もない、穏やかで平坦な毎日を過ごしていた。

毎日、誰のためにもならない冷風が、家の前の大通りを滑っていく。僕の住む西東京市は、田畑が広がる緑豊かな平地地帯だ。その凹凸のない土地の西側には、秩父の山岳地帯が面していて、強く、冷たい風がこの季節、毎日のように吹く。

「こう寒いと、外で遊ぶのもいやだねぇ。家が一番だねぇ。」

そう2歳になる息子に妻が言い聞かせる。

「いや、こういうときこそ、外で走り回るのが気持ちいいんだよ。空気が澄み切っていて、気持ちが良いし、肌を刺激するような冷たさが、体を強くするものなんだよ。」

「風邪引いたら、面倒見てくれる?それならいいよ?連れて行っても?」

「もちろんだとも!」

啖呵を切って、息子を外に連れ出す。カートに息子を乗せて、小走りで押しながら、近くの公園に向かう。
息子はまだ2歳。園内にある滑り台やターザンロープ、アスレチックはもちろんできず、走り回るか、園内にある丸太の階段を登ったり降りたりを繰り返すか、ブランコに揺られるか程度しかできない。

「いいかい、今度は滑り台に挑戦してみよう」

「いやーこわいもん」

「一回やってみよう。横で見ていてあげるから。ね、一度やってみて、それから帰ろう」

「いやーだめー」

ブランコに乗りながら、このやり取りをしてから毎日家路へとつく。
1日も欠かさず、息子と外でこの休み遊んだ。些細なことで、彼の発育や教育に一切良い影響があったとは思えないけれど、彼が生まれてから、初めてこんなに長い時間を一緒に過ごしたような気がした。

寝るときも一緒であった。同じ布団に、顔を向かい合わせながら潜った。眠りにつくまで、同じ時間を吸い込んで、彼はクスクスと笑い声を吐き出し、僕は彼に話すために作った教訓じみた童話を吐き出した。

「パパ、コーヒーくちゃい」

自分でもそう思う。苦くて、こもった臭い。

打って変わって、彼の息は、甘いバター菓子のような匂いで、同じ空気を吸っているのに、こうも違うのかと思った。

「いつかおまえもそうなるよ。そうなったときに、二人でお話をまたしよう。そしたら、そうだったらパパうれしいなぁ〜」

僕がそう言い終わる前に、息子は眠りに入っていたようだった。

 

初夢は、まだみれていない。