2015-01-01から1年間の記事一覧
今週のお題「読書の夏」 夏休みの課題図書というものがある。小学生のときである。 課題図書とされる本を読んで、読書感想文を提出するという 夏休み中に消化しなくてはならない宿題のひとつである。 当時の僕は、読書というものがあまり、いやまったく好き…
僕の通った小学校には、毎週木曜日に「移動図書館」なるものがきていた。 近くの図書館からたくさんの本を積んだ車がやってくるから「移動図書館」である。 当時の僕は、読書が好きだけれど、自分が本好きだということを、あまり人に知られるのが嫌だった。 …
今週のお題「夏の食事」 梅雨がふっと退席、失礼しやしたって感じ。急に日差しが強くなる。 夏になると、新潟に住んでいる親戚の渡辺さんがパイナップル、トマト、スイカなんかを送ってくれます。今でも変わらず送ってくれます。 それがすごく楽しみで、「あ…
今週のお題「ゾクッとする話」池袋駅から僕の実家まで徒歩で行くと、 平和通りという商店街を抜けるのが一番の近道なのです。 そこの一本中に入った道をあるいているときなんですけど、 先のほうにある、公園の真向かいの家の玄関先の表札の陰から、 おばさ…
正岡子規が書いた「俳句の出発」を読んでいる。ふうむ、俳句か、とてもいいもんだなと思い、これから俳句をやるべく、筆ペンを買う。がよくよく思えば、私、文章書くとき、手書きじゃなくてPCだったわけで、其の「書く」と「打つ」という行為自体が違うだけ…
爪のはらのピンク、そんな感じに桜が彩り、どの木もぱぁと枝を広げてバンザイの3月外れ。 僕と空海先生が初めて会ったのは2004年の春だったと思う。 「君さ、なに、コピーライターになりたいんだ?じゃあもっと日本語を勉強しないとだよ、これじゃ難しいよ〜…
「すみません、今日は早めに帰ります。次があるんです」 「はぁ珍しい!まだハンバーグ、全部食べてないですよ?珍しいですね、浦川さん。」 「あ、はい…残してごめんなさい。」 「いえいえ!…なにか、その、大事な用事なのですか?」 「あ、何かあったわけ…
六本木には地下鉄で向かった。 休日ではあったが、消化しききれなかった仕事を 上野のオフィスで片付け、地下鉄で向かう。 日比谷線から六本木通りへとあがる。 辺りは暗く、寒かった。 時期は年の瀬で、街は慌ただしく、赤青黄色、大小様々なネオンが光る。…
3月の始め、オフィスに行くと、僕の席の近くに電信柱が立っていた。 いや、電信柱のようにひょろっとした、背が高い男性がいたのである。 綺麗な白シャツを着ていた。 ズボンはローライズ、タイトなチノパンで、彼の直線体格を強調していた。 そして、僕たち…
「すみません!広尾のこの住所までお願いします」 恵比寿駅前でタクシーを拾う。 前の予定が長引き、恵比寿の駅に着いたのが16時57分。 高校時代の旧友、北条の結婚式二次会は17時から。 つまり僕は気が気でないくらい、急いでいたのである。 北条マサガス、…
「ところで、最後に聞きたいのだけれど、浦川くん、きみの文作の 師は誰だと思う?」 「あ、はい…帆士ハルヨだと思います」 「えっと…ごめんなさい、私不勉強かな。 その作家さんは初めて聞くな。随筆家さんか、なにかかな?」 「いえ、違います。僕の祖母で…
犬を飼いたいと言い出したのは母だった。 反対した。父も仕事で家にいないのはもちろん、母も雑司が谷の教育委員会で 働いていて、一日の大半、家を空けている。 そんな状態で犬なんて飼えるわけないやろ、やめときなさい。大変なんだよ、 犬っていうのは。…